こんにちは!
和創塾 〜きもので魅せる もうひとりの自分〜主宰 上杉惠理子です。
2020年5月。コロナさんによるステイホームの間に、はじめたことがあります。
それは…
/
自分で
きものを仕立てること!
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ついにチャレンジ!!
この記事では不定期で、私のちくちくレポートを更新していきます。
木綿きものだからこその、ちくちくパック
まず、ちくちくパックとは何かというと、このブログでも何度かご紹介している 木綿きものの専門店 染織こだまさんのオリジナルサービスです。
宮崎に本店がある 染織こだまさんは、Tシャツのようにお家で洗えて普段着にぴったりの木綿のきものを日本で一番多く扱っているお店です。
通常のお仕立てを頼むと1ヶ月程度で地元・宮崎県の和裁士さんがきれいに仕上げてくださるのですが、ちくちくパックでお願いするとサイズに合わせて印をつけ裁断しあとは自分で縫うだけ!という状態で送ってくださるのです^^
普段着の木綿だからできる素敵なサービスですよね!!
私はステイホーム中にまず立体刺繍にハマってしまいました^^
自分の手を動かす楽しさに気づき、もっと何かを作ってみたいなと思いまして。せっかくなら、きものを縫ってみた方が生徒さんのお仕立てやお直しの相談にもっと細かくアドバイスできるようになれるかも!!と思いまして。
何よりも実際に縫ってみたらきもののことをもっと深く理解できるかなと思いまして。
「いつかやってみたいなぁ」「素敵なサービスだなぁ」と思っていた、ちくちくパックにチャレンジすることにしました!!
準備)ちくちくパックが届くまで
どれにする?? 反物選び
ちくちくパックに挑戦しようかな♪と思い立ち、まずはこだまさんのサイトで反物選び。
楽しいですよねぇ^^反物選び♪
特にこだまさんの木綿は産地もお色、柄も多彩で見ているだけで楽しい!!しかも最近、HPをリニューアルされてとっても選びやすくなりました♪
いろいろと見てみて…今回私がオーダーしたのはこちらの反物です。
新潟の片貝木綿です。
大きな格子柄ですが、グリーン系の淡いお色目なので、大柄が苦手な私のようなタイプでも大丈夫。格子の大きさが全部一緒ではないところがモダンな雰囲気になるかなと♪お値段も高すぎず、自分で縫うにもまぁ気負わないレベル。
木綿のきものを選ぶとき、最初はお店で触って選んでほしいと思っています。なぜかというと木綿は産地やブランドによって、手触りや厚さが全く違うからです。
片貝木綿は木綿特有のごわつきを解消し足捌きをよくするように、たて糸の太さを3種類使い凹凸をつくっています。なので普通の木綿に比べてさらりとした着心地が特徴。以前から こだまさんの東京木綿展で片貝木綿のさらりとした手触りを知っていたので、今回はオンラインショップでぽちっ♪としました^^
格子の反物の柄合わせ
ポチッとしたあとで、スタッフさんから柄合わせの確認メールが届きました.
今回のように、左右で色や柄が異なる反物の場合
① 段を合わせる?
② 衿を濃い色or薄い色?
の二点を選ぶことができるのです。
① 段を 合わせる か 合わせないか(段をずらして仕立てる)
段を揃えるかどうか、特に後ろ姿の印象に影響しますね。格子の段を合わせた方が より大柄な印象になります。
② 衿の色:顔回りが 濃い方 か 薄い方 か
意外と印象が変わりますよね〜^^ 私は今回、濃い方がすっきりするかなと濃い方にしました。
この柄合わせはとっても大事♪
お店にお任せせずぜひ自分で選びましょう!
柄が決まったら「水通し(みずとおし)」という一度水に通す作業をしてくださり、そのあとで私のサイズに合わせて印をつけて裁断してくださいます。
届くまで2週間ほど。ドキドキ…♪
糸と和裁の本も用意して準備万端!
ちくちくパックが届く前に自分で用意したのが、糸とチャコペンと和裁の本でした。
糸は こだまさんのおすすめフジックス社の<シャッペスパン手縫い糸>
使いやすそうな印つけのチャコペンも新調してみました。
そして、念のため和裁の本も購入。
あとは縫うだけ、といっても、せっかくならきちんと縫ってみたいから。この本はフルカラーでわかりやすく、縫い始めてからも重宝しています^^
そして注文してから2週間ほど。ちくちくパックが我が家に届きましたー!
「楽しんで、ちくちくしてくださいねと宮崎マンゴーと日向夏の飴ちゃんを入れてくださいました。このお心遣いがとても嬉しかったです^^
開けてみると全ての布にパーツの名称や前後を書いたタグをつけてくださっていました。これなら私もわかりやすい♪♪
ちくちく① 背縫いを縫って、キセをかける
それでは早速、ちくちくスタート!!
私は今回、身頃から縫っていくことにしました。
まずは背縫いをまっすぐ身丈分155cmを一気に なみ縫い。
こだまさんの和裁士さんが黄色の糸で約10cm間隔に印をつけてくれているので、これを目印に縫うだけ♪
できるだけ曲がらないよう、目が大きくならないよう、ゆっくりでもとにかく細かく丁寧に…
あと、大事なことは何度も「糸こき」をすること。
*糸こき とはお裁縫で、手縫いで縫い進んだ後に、縫い目を指先の腹でしごいて、縫い縮みのないようにすること。
糸こきを何度もしていたら、ちょっと人差し指がガサガサになってきた気がする…汗 ちくちくパックにハンドクリームも必要ですね^^
背縫いを縫い終えたらここで背縫いに「キセ」をかけておきます。
キセというのは和裁独特の縫い方で、表から縫い目が見えないように1~2mm 布をかぶせたように仕立てること。
きものを着て、袖と身頃がつながってる部分や衿がついている部分を見ると、1~2mm布がかぶさって縫い目が見えないようになっています。これがキセがかかった状態です。(ぜひご自身のきものでチェックしてみてくださいね♪)普段、アイロンをかけるときもこのキセを取らないよう気をつけることが大事。ぜひキセを知っておいてくださいませ^^
キセをかけるためにプロの和裁士さんはコテを使うそうですが自宅ではアイロンでかけます。
アイロンでキセをかけて表に返すと…
キセがかかったー!!!
なんだか和裁っぽくて嬉しい^^
ちくちく② 内揚げは裏側に&裾に向かって
内揚げって何のため??
背縫いを縫い終わった次は内揚げを縫います♪
*内揚げを縫ってから背縫いを縫っても大丈夫です^^
内揚げ(うちあげ)とはお腹の帯に隠れるあたりに布を折り込むこと。
内揚げを入れるのは女性ものだけ。男性のきものにはありません。
内揚げをつくって布をお腹周りに残しておくと、何が良いかというと…
① 背が高い人にゆずるときに、内揚げを解くことで身丈を伸ばすことができる
② たくさん着て裾に穴が開いてしまったときに、内揚げを解くことで裾を伸ばし、穴が開いた部分は切り落としてお直しができる。
…と、後々便利!
私は内揚げの存在と意味を初めて知ったときに
「きものって長く使い続ける知恵が詰まっていて、なんてエコロジーな衣装なんだろう!!」
と感動しました^^
なので、反物に余裕があれば通常のお仕立てでも内揚げはしっかり入れてもらってください^^ 長身の方の場合は反物の長さが足りず内揚げは入らないかと思います。私(身長155cm)だったら十分に反物が残るのでばっちり入れます。
内揚げは向きに気をつけて縫いましょ♪
というわけで私も内揚げをちくちく…
内揚げを縫うときのポイントは、裏に折りこみ、裾(すそ)に向かって倒すこと。
絵を描くのは苦手なのですが…がんばって図にしてみました!
グレーに色を塗った方が「裏」デス!
裾に向かって倒すので、キセをかけるときも裾に向かって倒してかけます。
そしてキセをかけて衿の方の表地を開いたら倒した内揚げがピラピラしないよう縫いとめます。
実際に縫った画像がこちら。
こうして前身頃、後ろ身頃左右、前身頃と内揚げの縫い目が、横にずーっと揃えばOK!
裏表はどっち?裾はどっち?とわからなくなりがちなので落ち着いて縫いましょう〜〜
私も一か所、裏表を間違えて表側に布の折込みが出てしまってやり直しました^^; やってしまった…
ちなみに。
さらにマニアックな話になりますが。。内揚げの折り込む長さは前身頃よりも後ろ身頃の方が長くなります(おおくなる)。なぜかというと、衿の繰越分を、後ろの内揚げに折り込むから。そういうことかーと私は今回仕立ててみて気付きました^^
というわけで無事に内揚げが入りました!
ちくちく③ 脇を縫いながらエコロジーを考える
内揚げが縫えたら次は…
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左右の 脇を縫う!
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こだまさんで予め付けてくれた印に沿って前と後ろを合わせて、ちゃんと待ち針を打ってなみ縫いをする。
…これだけで済めば難しく無いのですが、きものは、縫い代を始末しないといけないんですね〜
きものの反物幅は36〜40cmほど。
今回、私が縫っている片貝木綿の反物は39cm幅がありました。
私は身長155cmの小柄タイプなので幅35cmあれば十分なんです。ほんとは。
では余った幅、約4cm分をどうするか。
ここで大事なポイントは
きものでは
余った横幅分を切り落とさない
ということ。
余った横幅分は全部縫い代として縫い込んでおきます。
こうすることでこのきものを解けば、大きな布に戻すことができます。
これから先、このきものを、もっと背が高い人に譲ることになれば、縫い代分を広げて大きくサイズ変更ができます。(内揚げと同じ考え方ですね♪)
きものとして使えなくなっても、大きな布に戻せば、帯に仕立て直したり、座布団カバーにしたり、雑巾にしたり…いろんな使い方ができるわけです。布の切れ端のゴミを最小限にとどめ、布として最後まで使い切ることができるよう きものは仕立てている。
きものって、なんてエコロジーな衣装なんでしょう*^^*
私は きものにこうした暮らしの知恵が詰まってるところがめちゃくちゃ好きです^^
ということで、この大きな縫い代がバサバサ開いたままだと着づらいことこの上ないので、縫い代を縫いとめていきます。
このおかげできものは縫う分量が2倍に増えるわけですが苦笑がんばって縫います〜〜^^
縫い代にキセをかけてくけ縫いをして留めて行きます。
くけ縫いは表にも裏にも見える縫い目を最小限にして留めていく縫い方です。
半衿つけにも使える縫い方なので覚えておくと良いですよ^^
脇の布が余るということは袖口周りも布が余るということで…袖口周りもぐるりと縫いとめていきます。
袖口周りをとめるのは「ふた目落とし」という縫い方です。(ひと目落としと言う方もいるそうです)くけ縫いと似て縫い目をできるだけ出さずに縫い留める方法です。
教えてもらって動画に撮ったのでご参考まで。
和裁の縫い方/ふた目落とし
https://youtu.be/XeS9ciSb6IE
ちなみに、脇から袖口への境目は三角に開いています。開く前にその内側を2本縫っておくのだそう。
…なんてマニアック^^;
閑話休題*ミシンを使わず手縫いで仕立てる理由
こうしてやっと左右の脇が縫い終わりましたー!
あー。。疲れた笑
「ミシンを使わずに、全部手縫いで縫うなんてすごいですね〜」
と言われますが
そもそも きものでミシンで縫えるところってそんなにないわけです^^;
くけ縫いやふた目落としはミシンでできないですから。
ちなみにミシンを使わない理由は他にもあります。
ひとつは、ミシンだと目が細かすぎて強すぎてストレッチが効きづらくなります。そうすると、おしり周りとか破れやすくなる原因になるそうです。
また、ミシン仕立てだと仕立て直ししにくいから。ミシンだと針が太く細かくて解きにくく、しかも解いたときに針穴が目立ってしまうのです。
✔︎ 着るときに手縫いの方がストレッチが効く
✔︎ 仕立て直ししやすい
✔︎ そもそもミシンでできない縫い方の場所が多い
…というわけで和裁は手縫いなのです^^
ちくちく④衽と裾を縫って…きものらしくなった!
さて。前回のレポートを更新したのが6月半ば。
1ヶ月ほど一度も針を持たずに眠らせてしまいましたが…8月に入り続きにチャレンジ!!
背縫い→内揚げ→脇と縫ってきたので次に縫うのは…
衽(おくみ)!
衽とは、左右の身頃に付け足す約15cm幅の布。きものは前合わせで着る衣装なので、衽を足すことで、はだけにくくします。
↑この図では前身頃の衽しか見えていませんが内側の身頃にも衽がついています。
まずは左右の衽の縁を三つ折りぐけで縫います。
ポイントが衽の角っこの縫い方。「額縁づくり」という方法で縫い代がだぶつかないよう縫います。
端っこに糸を輪っかにして、引っ張りながら縫うと綺麗にできます^^
こうして衽の縁が縫えたら、身頃とくっつけます。
衽と前身頃の印を、まち針でしっかり合わせて並縫いでちくちくちくちく…
並縫いができたらここもキセをかけ、縫い代を縫い押さえます。
キセをかけるときは縫い目の少し上を折って、熱めのドライアイロンでしっかり押さえる。
キセをかける目的は、表から見たときに1~2mmほど縫い目に布を被せ、縫い目が見えないようにするため、でしたね^^
キセをかけ終えたらまた裏側に戻って、余っている縫い代を くけ縫いで縫い押さえていきます。
特に、左身頃につける衽は着たときに一番外側にきて一番目立つ場所です。ここの衽の縫い目が歪んでシワができたりするとかっこ悪いので…糸こきをしっかりして丁寧に縫うのがポイント♪
ちくちくちくちく…
くっつけて縫い代始末して…と縫うところが多いのですが、好きな音楽をかけながら ちくちくちくちく…するのはなんだか瞑想のように集中できて好きなんですよね^^
左右の衽をつけられたら裾周りを
衽
→前身頃
→後ろ身頃
→反対側の前身頃
→反対側の衽
と一気にぐるりと三つ折りぐけで始末します。
だいぶだいぶ♪ きものらしくなってきた気がする!!
秋以降に着る単の木綿きもの。今年2020年の秋に間に合うでしょうか!?!?
次回の更新をお楽しみに!
それではまた^^
和創塾
〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
上杉 惠理子
ちくちくレポをはじめ、
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