こんにちは!
上杉 惠理子です。
きもののお店では毎年5月末から
浴衣が並び始め
6月になると浴衣売場がどんどん
充実する季節になります^^
ここ数年は
浴衣は夏のファッションのひとつとして定着。
色も柄も様々な浴衣がどんどん出ています。
種類がありすぎて何が何だか
わからなくなるほど…!!
色や柄も大事なポイントですが
もうひとつ、ぜひ押さえていただきたいのが
浴衣の素材のこと。
浴衣という基本同じカタチの服でも
素材によって
魅え方、着心地、お手入れ方法など
大きく変わってくるのです!
この記事では
浴衣の素材ごとの
特徴や着心地をお伝えしますね!
浴衣の素材は大きく4つあります。
浴衣と言っても
今、色々な素材がありまして
素材で分けると
大きく4つに分けられます。
1. 木綿100%のもの
綿コーマ、 総絞り
綿絽、綿紅梅、など
織り方によって変わります。
2. 麻が入っているもの
木綿と麻の混紡は
「綿麻(めんあさ)」と言います。
麻100%もありますね。
3. ポリエステル
最近は東レさんの
「セオ・アルファ」という素材が
涼しくて軽くて
ポリエステル浴衣の代表格。
4. 絹もの
絹絽、絹紅梅など
「浴衣」と呼ぶのは相応しくないのでは…
と思うほどの上質感!
この浴衣の素材、
それぞれ一長一短。
– 価格
– ランクアップ度
– 着心地
– お手入れ
の4点から
それぞれ特徴を
お伝えしていきたいと思います。
注)できるだけ公平になるよう
友人の着物ファンの方からの意見も踏まえて
お伝えしようとしておりますが、
私が着てみての主観、好みも
若干入るのでご了承ください^^;
浴衣の定番!木綿100%
浴衣といえばまず思いつくのは
「木綿」ではないでしょうか^^
Tシャツ感覚で着られる♪綿コーマ
一番ポピュラーで浴衣らしい
木綿100%の浴衣です。
私もシンプルな白地にあやめの
綿コーマの浴衣を持っています。
コーマとは、
櫛の「コーム」が語源で
糸の目を詰めたということ。
木綿の中でも
とてもしっかりした生地で
丈夫で、透けにくいのです。
Tシャツのようなもので
自分でじゃぶじゃぶ洗うことができ
とても気軽に着ることができます♪
ただ、シワが残りやすいので脱水は軽めに!
それでも気になる方はアイロンが要るかな〜
しっかりした厚みのある生地なので
長襦袢を入れると正直暑く感じるので、
夏きものとして
ランクアップさせて着るのは難しい。
一枚でさらりと着て
楽しむにはぴったりです。
着たときの写真が
こんなのしかなかった笑
▼▼
「浴衣で水炊き鍋の会」
というお食事会に
着て行ったときのもの。
ザ・浴衣を楽しむ一枚ですね♪
<綿コーマ まとめ>
【価格】お手軽♪ 1万円程度〜
【着心地】:1枚で着るなら良し
【ランクアップ】:難(半衿付き長襦袢を入れると暑い)
【お手入れ】丈夫な綿なので家で洗える。が、アイロンをかけたくなる。
ふわっとした着心地がたまらない❤︎ 総絞り
綿コーマと並び
浴衣の代表格・木綿の総絞り。
以前は藍で染めた紺地ベースがメインでしたが
絞りの産地として有名な
愛知県・有松絞りなどでは
最近はカラフルな色・柄が出ています。
▲ きものやまと浅草店さんのインスタより
シボの立体感で、反物自体が大きくて
なんだか枕が並んでるみたいね^^
https://www.instagram.com/kimonoyamato_asakusa/?hl=ja
絞りは意外と既製品が少なく
反物からのお仕立てが多いですね。
新作だとお仕立て込で
5万円くらいかなと感じています。
手仕事の上質感
ふわっとした着心地は
総絞りだからこその魅力❤︎
一枚でふわりと着たくなります^^
そんな着心地のよさなので
素足に下駄で浴衣として楽しむ方が私は好き。
中に長襦袢・半衿をいれる、きものランクアップは
あまり向かないかなぁと思っています。
絞り=カジュアルな浴衣
というイメージも強いですし。
また、絞りの浴衣のお手入れについては
意見が二分します。
手洗いするとシボがなくなるから
家では洗わずに、シーズン終わりに毎年
きもの店や和装クリーニング専門店に頼むべし
というご意見も多い。
一方で、自分で洗う方がいい、というサイトもあります。
▼例えばこちら▼
https://www.tsuyukusa.co.jp/fs/tsuyukusa/c/0000000196
私は一度自分で洗ってみましたが…
なんだかシボが取れてしまった気がして。
今はシーズン終わりに
専門店の「絞り浴衣お手入れ」にお願いしています。
<総絞り まとめ>
【価格】5万円程度
【着心地】:1枚で着ると最高❤︎
【ランクアップ】:ランクアップせず浴衣としてがおすすめ
【お手入れ】心配な方は専門店へ
木綿でも軽く上品に♪ 綿絽・綿紅梅
透けるものもあります。
「絽(ろ)」
「紅梅(こうばい)」
というのは、織り方のこと。
こちらは綿絽
▼▼
「絽(ろ)」とは
規則的に隙間を作りながら織ることで
線で透けた生地になります。
こちらが綿紅梅
▼▼
「紅梅(こうばい)」は
太さの違う糸で織ることで
ワッフル地のような凹凸があり
さらりとした肌触りが魅力。
格子柄に見える凹凸があるのですが
…写真でわかるかなぁ〜^^;
凹凸を表す「勾配」が転じて
「紅梅」になったと言われ、
梅とは関係はありません笑。
木綿を絽に織ったものを
「綿絽(めんろ)」
木綿を紅梅に織ったものを
「綿紅梅(めんこうばい)」
と呼びます。
ちなみに、
絹を絽に織れば「絹絽(きぬろ)」
絹を紅梅に織れば「絹紅梅(きぬこうばい)」
となります^^
綿絽や綿紅梅は
綿コーマよりも透け感があり
着心地も軽く、上質感が出ます。
ただし、一枚で着ると
足のラインなど透けてしまうものが多く
浴衣スリップなどインナーが必要になります。
なので半衿がついた長襦袢を入れて
夏きもののように着るのにぴったり^^
1枚でパッと気軽に浴衣として着る、
というよりも
ランクアップさせて
よそいき用に考える人向けです。
<綿絽・綿紅梅 まとめ>
【価格】
【着心地】:綿コーマよりも軽い
【ランクアップ】:半衿付けた長襦袢を入れると夏きものになる
【お手入れ】洗濯ネットに入れてお家でじゃぶじゃぶ♪
涼しい夏を代表する自然素材 麻を使った浴衣たち
麻とはどんな素材でしょう?
木綿に続いて
麻が入っているもの
のお話をお届けします。
きものでも麻は
夏を代表する涼しい素材です。
麻という植物は
いろいろな種類があり
ジュートやサイザルなども
麻の種類です。
きものになる麻は
苧麻(ちょま)、ラミーと言われ
日本では昔「からむし」とも呼ばれました。
2mほどの背丈になる草です。
このからむしを刈り取り
茎の芯の周りの繊維部分を
裂いて糸にします。
裂く
手で裂く
ひたすら裂く
髪ほどの細さ まで、裂く!
細く裂いたら
髪の毛の枝毛のように
端っこを裂いて
次の糸にからませて繋いでいく
そうやって麻の糸が
できるそうです。
このお話を伺ったとき
裂くだけで
糸になるんだ!!
と私はびっくり。
火を使ったりせず単純な方法だから
麻の衣服の歴史は
1000年以上の古い歴史があります。
日本でも木綿が普及するのは江戸時代、
それまで庶民は麻を基本の衣服としていました。
服は自然の恵みを
身にまとうことなのだと
麻のお話から感じます^^
もはや夏の必需品!? 麻きもの
麻が入ったきものは
木綿と麻を取り混ぜながら織った
綿麻(めんあさ)
と
麻100%の
本麻(ほんあさ)
があります。
1) 綿麻
– 価格:中
– ランクアップ度:可
– 着心地:木綿100%より軽い
– お手入れ:
家で洗える。
シワが気になる人は、アイロンを。
縦糸か横糸どちらかを木綿に
もう片方を麻にして織った綿麻は
綿コーマや綿紅梅よりも
お値段はちょっと上がりますが
着心地が軽く、さらりとします。
色味も木綿の真っ白よりも
麻の生成り感を出したものが多く
ナチュラルな雰囲気がします。
着れる期間は
普通の浴衣と同じく6〜9月。
長襦袢を入れれば
夏きものとしても着られるので
夏のきものデビューの一枚として
綿麻を選ぶ人も多いですね。
2) 本麻
– 価格: 中以上
– ランクアップ度:高い
– 着心地:夏は最高。
– お手入れ:
家で洗えて速乾性も高い。
シワが気になる人はアイロンを。
– 着る期間は7〜8月
麻100%の本麻は
機械ものか手仕事かで
お値段がガラリと変わります。
機械で糸を作り量産されたものは
5万円ほどからありますが
手仕事で
カラムシの茎を裂いて裂いて
糸にし、手機で織ったものは
超高級の伝統工芸品。
麻と呼ばず、
「上布(じょうふ)」といい
きものだと軽く7桁を超える
そんな金額になります。
私は、麻が大好き!!
(もちろん、
機械で糸にしたもの!笑)
夏は本麻以外
着たくない!
と思うほど涼しくて軽い。
きものも長襦袢も
本麻を着て歩くと
風が身体をスッと通って
最高に幸せな気持ちになります^^
お手入れも楽です。
私は普段から着るので
自宅でじゃぶじゃぶ洗って
軽く洗濯機で脱水して干します。
速乾性が高いので
一晩で乾きます。
普段着づかいのときは
アイロンがけもせず
細かいシワは気にせず着ちゃいます。
ただ、本麻は
7〜8月の盛夏のみに
着たいもの。
見た目も涼しそうなので
真夏にとっておきたいきものです。
6月の暑い日には
もう麻を着たくなるのですが、
それは
11月にクリスマス柄を着て
季節外れに感じるのと同じで
ちょっと野暮。
ぐっとこらえて
7〜8月にだけ
思い切り楽しむのが本麻。
つまり麻100%のきものは
むちゃくちゃ涼しいけれど
着る期間が他の浴衣よりも短い。
これがデメリットでしょうか。
また本麻は、透けるので
長襦袢を入れて
きものとして着ることがほとんど。
浴衣として1枚では着ないので
浴衣の素材のひとつとして
ここでご紹介するのはどうかな、
とも思いましたがご参考まで。
麻は大好きなので…
ついつい語りすぎました笑
進化し続ける、ポリエステル浴衣!
江戸時代に
銭湯の普及とともに
湯上りに着るものとして
庶民に広がった浴衣は
もともと木綿でした。
ポリエステルの浴衣が
出てきたのは
最近のことですね。
【ポリエステル】
– 価格:中
– ランクアップ度:高い
– 着心地:
なめらかで柔らかい。
生地が滑りやすい。
暑い、蒸れる、という声も。
– お手入れ:
家で洗える。速乾性も高い。
シワになりにくい!!
ポリエステルの浴衣で
今一番、広がっているのは
東レさんの 「セオ・アルファ」という布地です。
セオ・アルファの一番の魅力は
お手入れが楽!
特に、シワになりにくく
アイロンいらず!
そしてもう一つの魅力が
生地が柔らかいので
木綿や麻の張りのある
ナチュラル感よりも
絹のきもののように
ボディラインに沿う
女性らしい着姿になります。
また、木綿よりも細かい絵柄を
表現できるので
凝ったデザインが多いのも
ポリエステル浴衣の特徴。
長襦袢を着て
夏きものとして
ランクアップももちろんOK。
有名な浴衣ブランドでも
仕立て済みの既製品で
3〜4万円。
夏のおしゃれの一枚として
ワンピース感覚で楽しめます。
ポリエステルは暑い、
というのがずっと課題でしたが
研究開発がどんどん進み
以前よりもずっと
涼しくなったそうです。
(本麻には敵わないですけどね〜)
あと、気をつけていただきたいのが
ツルツルに滑りやすい生地なので
椅子などに座っていると
裾が膝から落ちること。
長襦袢や足が見えて
周りの人をがっかりさせないよう、
しっかり両膝、両足を合わせて
たまに手で確認しながら
美しい仕草をキープしてくださいね!^_-☆
浴衣から、きもの生活に
チャレンジしていきたい!
特に
自然素材にこだわらず
サマーパーティなど
イベントにどんどん着ていきたい!
という方には
とても便利で幅広く楽しめるのが
ポリエステル浴衣、です^^
最高の上質感、絹の浴衣
【絹紅梅】
– 価格:高い
– ランクアップ度:高い
– 着心地:
なめらかで柔らかい。
上質感が出る
– お手入れ:
自宅では難しく
シーズン後に汗抜きに出す。
太い格子部分は木綿、
あとは絹糸で織られるのが
絹紅梅です。
綿紅梅よりも透け感があり
1枚で浴衣とするより、
長襦袢を着て、半衿を入れて
夏きものとして
よそ行きのお出かけ着として
楽しむのがオススメです。
絹の高級感・上質感は
他の素材にはないものがあり、
ストンとボディラインに沿う
柔らかさで女っぷりが上がります。
とはいえ、
やはり絹ものの難点は
自宅でお手入れができないこと。
絹は家で洗うと
縮んで修復できなくなります。
着終わったらまずは
家でしっかり干すこと。
今年はもう着ないわ
とわかったシーズン後には
必ず専門のクリーニング店に
汗抜きに出してください。
汗がついたままだと
絹は数ヶ月で黄ばみが出て
取れなくなりますから…!
まとめ:浴衣の素材は一長一短
いかがでしたか??
意外と種類が多くて
びっくりした!!という方も
いらっしゃるのではないでしょうか?^^
浴衣の素材は一長一短、
ということが
伝わっていたら
とても嬉しいです^^
そして、お伝えしてきた通り
浴衣でも着られるし
夏きものとしても着られる
というモノがいっぱいありましたね。
浴衣、として売っていても
いやそれ本当に浴衣なの!?
きものじゃないの!?
と、ツッコミたくなるもの
がいっぱい!笑
つまり…
浴衣というモノが
あるというより
今や、浴衣は
着方のスタイルなのです。
同じものでも
一枚でさらりと
素足に下駄で
気軽に着ることが浴衣。
そう理解すると
きものと浴衣の違いが
だいぶスッキリ
理解いただけるのではと思います^^
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