きもののお悩み

【質問】桐箪笥がない場合の、きものの収納方法を教えてください

こんにちは!
上杉惠理子です。

今日は読者さんからのご質問に
お答えして参ります!

改めまして、
着物の収納方法を伺いたいです。
専用の箪笥を置くことができず、
広い場所も確保できない時の
お勧めの方法と、
絶対に気を付けるポイントを
改めて伺いたいです
(Aさん/神奈川県在住)

 

きものの収納についてのご質問は
多くの方からいただいております^^
きものを着始めたら必ず考えますものね。
ご質問ありがとうございます!!

 

この記事ではじっくり
きものの収納について
考えていきましょう♪♪

きものの収納方法が難しく思うのはなぜ?

きものはなぜ、収納について
洋服とは違う対応が必要なのでしょうか?

 

洋服と一緒に
コンパクトにくるくるっとまとめて
洋服ダンスに入れたらなんでダメなの??

ハンガーにかけっぱなしじゃダメ?

 

 

なぜ、きものは
洋服の収納とは別で
考えなければいけないかというと

 ① たたむ衣服である
 ② 素材が絹が多い 

この2つの特徴があるからです。

 順番に見ていきましょう♪

 

きものは二つ折りでしまえる広さが欲しい!

まず きものの大原則がこちら。

①きものは たたむ衣服である 

ということ。

 

きものは
「本だたみ」という
たたみ方があります。 

「本だたみ」については
こちらの動画でお話しています^^
>> https://youtu.be/DmnqJu1KjX8

本だたみにすると
左右対象にぴったり合わせて
縫い目に沿ってたたむことができます。
 

本だたみにして
二つ折りにして仕舞っておくことは、
余計なたたみじわを作らず
次に着るときもアイロンをかけずに
すぐに着ることができる。

とっても合理的なたたみ方なのです。

きものを六つ折りなど
小さくたたんで仕舞っておくと
たたみじわができて大変!!
着る前にアイロンをかけなければいけません。

また、小さくたたむと
内側で湿気がこもり
カビが発生しやすくなる危険もあります。

 

また、ハンガー等に
吊るしっぱなしにすると一部に重力がかかり
仕立てが狂い、形崩れがおきます。

 

 

きものは、たたむ文化。
洋服は、吊るす文化。

 

前提が違うのですね^^

 

 

なので、きものは
本だたみにして

二つ折り、せめて三つ折りで
仕舞っておきたい。

そのための
スペースをつくること
まず大事になるわけです。

 

絹の特徴に合わせて収納したい!!

次に、
② きものは絹素材が多い 

そのために
収納を洋服と別で考える必要があります。

 

絹には
良いところがいっぱいあります。

<絹のメリット>
✔︎
軽いし、丈夫!

✔︎ 光沢があって美しい

✔︎ (絹同士なら)静電気が起きにくい

✔︎ 保湿性も高い

✔︎ 絹だけなら虫が付きにくい

 

ですが、
絹にはデメリットもあります。

<絹のデメリット>
✔︎ 水分で縮みやすい

✔︎ たんぱく質なので、
 虫が入り込むと餌になる
 (食べられて穴があいちゃう!)

✔︎ 塩分や紫外線で変色する

✔︎ 他の衣服素材同様、
 カビが生える可能性がある

 

 

こうした絹の特徴があり
しかも、きものは数年、数十年単位で保管するもの。

なので、きものの収納で
考えることは4つあります。

 

1)湿気から守る

絹は水分で縮みやすく
水洗いすると縮むのはもちろん、
湿気でも縮みます。
また、湿気はカビ発生条件のひとつ。

なので、縮み防止とカビ防止のために
湿気からきものを守ることが
とっても大事。

 

2)虫対策をする

絹そのものはもともと
虫が付きにくい素材と言われます。
ですが、ウールや他の素材についた虫が
入ってくると絹も食べられちゃう。
穴が開いてしまったら…
もう戻りません。。

*穴が開いたら
 後ろからかがって修復する
 という方法もあることはあります

 

 

3)光から守る

きものが変色する原因になります。
お日様の紫外線はもちろん
蛍光灯の光でも
変色してしまうそう。

4)化学系のガスから守る

帯板の接着剤とか
防虫剤をいろいろ入れて
化学反応が起こっちゃうとか。
えー!?そんなことがあるの!?
ということが起こります。

 

 

つまり!

ちゃんとたたんで仕舞えるスペースがあって、
湿気・虫・光・ガス
この4つから守ることができれば
桐だんすがなくても良いわけです^^

きもの収納は4つのトラブルの元から守ればいい

 

きものの収納の2大原則

1)二つ折り(せめて三つ折り)で
  たたんでしまえるスペースを作る

2)トラブルの元
 湿気、虫、光、ガスから守る

 

これが実現できれば
別に和服専用の桐箪笥でなくても
良いわけです。

 

 

それでは

2)トラブルの元
湿気、虫、光、ガスから守る

4つそれぞれについて
基本の対策を今日はお伝えしますね♪

 

 

1)湿気から守る方法

・高い位置にしまう

湿気は空間の低い方に溜まるので
着る頻度の少ない礼装ほど
高い位置/上段にしまう

・ちゃんと和紙でできたたとう紙を使う

きものを包む和紙のたとう紙は
湿気を吸ってきものを守ってくれます。
もう湿気を吸えない!となると
茶色くシミを出して教えてくれるので
シミが出たら交換する。

・余計な新聞紙や洋紙は全部捨てる! 

たとう紙の内側に持ち運びやすくするため
厚紙が入っていたり
引き出しの下に新聞紙を
敷いたりする方がいますが
全部要りません。
カビの温床になるだけとのこと。
たとう紙だけで十分^^ 

・除湿剤を活用する

除湿ポッドを入れるよりも
除湿シートを引き出しの底と上に敷くのが
きものには効果的とのこと♪

 

・ベッドの下に保管するのは絶対NG!

やりがちだけどダメなのが
ベッド下に入れること!
人は寝ている間に一年中汗をかくので
ベッド下は一番湿気がたまります。

 

2)虫から守る方法

・絹だけで保管する。 
 
絹だけなら虫がつきにくいのですが
ウールについた虫が絹にも移動すると
食べられて穴が開いちゃう!

というわけで、
絹のきものに、ウールを混ぜない。

モスリンの腰紐もウールが入っているので
きものとは別々で保管。

絹は絹だけで保管するのが鉄則です。

 

・天然の防虫剤を入れておく

防虫剤というと
薬局で買うもの、、という
イメージがありますが
昔から使われていたものを使うと
臭いがきものにつかずおすすめです。

 
ひとつは、イチョウの葉。

イチョウの葉は防虫効果があるものとして
昔からきものや和紙の保管に
使われてきたそうです。

秋に、枝から落ちたイチョウの葉を
きれいに拭いて
お茶パックに入れたものを
引き出しに入れておくと
防虫効果になります。

 

天然樟脳もおすすめです

クスノキの枝から取れる
天然樟脳も防虫剤として
昔から使われてきました。

化学樟脳はものすごく臭いが残るので
私もほんっと苦手なのですが
天然樟脳はそんなに臭いもきつくなく
着ると香りが飛びます。

 
木綿きものの こだまさんで
販売されているのでよかったらご参考まで^^ 
https://someorikodamas.com/product/15641

・モスリンの腰紐にアイロンがけ

収納からは離れますが
モスリンの腰紐はウールなので
虫がつくときものにも移る可能性があります。
ときどき、腰紐に高温アイロンをかけてあげると
虫除けになります^^

 

3)光から守る方法

・包む

たとう紙には光が通過します。
たとう紙に包んだだけで
部屋に放置せず
大きな風呂敷で包むなど一手間かける。

4)ガスから守る方法

・要らないものは捨てる!!

意外とねぇ箪笥にいろいろ入ってるんですよ。。
もう使わない帯板とか
防虫剤の空袋とか
何が入ってたのかビニール袋とか。
要らないものは箪笥に入れておかない!

・紙箱収納をしない

着物屋さんによっては
購入すると持ち運びしやすいよう
紙箱に入れて納品してくれます。
その箱をそのまま収納に使わない。

・化学系防虫剤は混ぜない

使うなら一種類を使い続ける。
混ぜるな危険、とのこと。

全てを完璧にしなくてもいいけれど
ご自宅の状況を見て
できることをやれたらいいのだと思います。

お家の状況に合わせて
やっていけばいいか??
次に一緒に考えて参りましょう♪

実際にどうするの???きもの収納事例

きものは、桐だんすに入れるもの
というイメージがありますが
現代の住宅事情では
桐だんすを用意するのは
なかなか難しいですよね。

 

ここではもう少し具体的に
桐箪笥を使わないきもの収納事例を
お話してみます^^

 

●洋服チェストを使う

幅1mのチェストがあれば
きものを二つ折りでしまえます。
私はひとり暮らし1K生活になったとき
木製の3段チェストを2万円ほどで購入し
使っていました。

紫外線が当たりにくいよう
置き場所を気をつけて、
虫除けにイチョウの葉っぱや
天然樟脳を入れておきましょう^^

お部屋が1階などで
湿気が溜まりやすい場合は
除湿シートを引き出しの底に敷くなどもう一手間を。

 

●プラスチック衣装ケースを使う

家具を増やすのはいや!という方は
プラスチック衣装ケースもアリです。
引き出しタイプのフィッツシリーズ
幅44cm、奥行74cmのタイプは
三つ折りで入って出し入れも楽と
使っている方が多いですね♪

 

プラスチックケースなら
絹とウールを分けて
しっかり閉めれば虫除けになります。

プラスチックケースで気になるのは
湿気対策なので

✔︎ できれば押入れやクローゼットの上段におく。
 スノコを置いてから、
 ケースを乗せるとかなり安心♪
 (取り出す時は気をつけて…!)

 ✔︎ 押入れの下段に置く場合は
 衣装ケースの下にスノコ必須で♪

 ✔︎ ケース内の底に除湿シートを敷いてから
  きものを入れていく

といったもう一手間を入れましょう^^

  

● スチールラックにおく

天井まで支えてくれるスチールラック。
私も一時期、家にあったなぁ。
幅があればこのラックに載せる、というのも手です。

光防止のために
必ず大きな風呂敷などで
光が入らないように包むこと。

また、ウールのものを
近くにおかないこと。 
ストールとか要注意デス!

 

●きもの専用収納袋を使う

ウールとわけたり
きものだけで収納するスペースまでは無い!
という方は、きもの専用収納袋を使う方法があります。

例えば きものおたすけくらぶさんの
「きものキーパー」
http://kimono-keeper.jp/

こちらは布製の袋にきものを入れるわけですが
中の酸素を抜けるので
虫は生きていけず、カビも出ない、というもの。
ウールと同じ空間に置いてもいいし
湿気の多いベッド下に入れても大丈夫、とのこと。 

留袖や振袖、礼装の袋帯…
数年に一度しか登場しない
大切なきものの保管に
使われる方も多いそうです^^

 

 

…と書いてみましたが
いかがでしょうか??

 

きもののメンテナンスの極意は??

ここまで書いてきましたが
どんなに収納に気をつけていても
絶対に大丈夫、カビも虫も出ない、
と言い切ることはできません。

ご自宅の状況に合わせて
ご自身でやれる範囲で
様子を見ながらやっていくしかないのです。

 

その意味で

きものの
最高のメンテナンス法があります。

それは

着ること、なのです。

着ることが
きものの最高のメンテナンス。

 

着る前後に干すことで
絹に呼吸をさせ、

着て動いたりたたむことで
絹に運動をさせる。

これが一番。

何年も仕舞い込まず
着るために何度か出していれば
トラブルにも気付きます。

 

 

なので、
この先20年、30年
本気で着る可能性が無いなら
手放すことも一案です。

 

私も頂き物で
自分では着ないというものは
人にまた譲り、循環させます。

私がただ持ち続けても
きものにとっても 私にとっても
意味がないことだと思うから。

改めて。
きもののお手入れや収納を
私たちが向き合う意味を
考えてみました。

よろしかったら
こちらのミニ動画講座を
ご覧になってみてくださいね^^

収納をしなおしたらご褒美がありました❤︎

そして2020年このGWに
私も
全部きものを
整理整頓しなおしました…!!

 

タンスの上から
母の留袖、訪問着、袋帯…
と良いものから入れなおして

引き出し下段に入っていた 
もう使うことはないだろう
という色あせた長襦袢や肌着、
40年前の改良帯枕…を全部処分。

何十年前に入れたのか…
空になった防虫剤の袋も
ちょいちょい出てくるんですよね。。
これも処分!!

 

タンスの外に溢れかけていた
絹のきものを全部
タンスに入れ直しました^^ 

 

 

ぐちゃぐちゃしがちな
帯揚げ、半衿、伊達衿、帯締めも
全部出して仕舞い直しました。

 

別に仕舞い方は
決まっていないのですが
私はタンスの引き出しに
たたんで並べて入れています。

 

帯締めの房も絹糸なので
そのまま放置しておくと
湿気を吸ってチリチリになってしまうので

房をまとめる
結び方をしておくと一安心^^

私もついに
この房をまとめる結び方が
できるようになりました♪♪
(ヘタッピでずっとできなかった…笑)

 

片付けていたら
見たことのない夏帯と
小さな布バッグが出てきました♪
 

お片付けをがんばったねと
きものの神様からの
ご褒美でしょうか^^

 

きものが眠るタンスは
ほんっと宝箱だなぁ❤︎

 

 

たいへんだったけど…
すっきり!!

 

お片付けをすると
気持ちもすっきりしますね^^ 

 

お手入れや収納にかける時間も
とても素敵な豊かな時間。
そう思たらいいなとおもいます^^

和創塾
〜きもので魅せる もうひとりの自分〜
上杉 惠理子


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